猫日記

だから猫に文章を描かせるとこうなるんだ

シュレディンガーの消毒薬

4月22日(金)の夜から23日(土)

腹部全体(腹筋含む)の腹痛、激しい頭痛と若干の吐き気。物を食べても消化不良のまま下してしまう為食事を経口補水液に切替え。自覚症状に気づかぬうち姪に会ってしまったのが気にかかる。

4月24日(日)

38℃程度の発熱あり(平熱はせいぜい36.5℃である)。扁桃炎による発熱は39℃以上になることも多く、そこまで辛くはない。とは言っても頭痛と関節痛を免れることはない。重ねて胃腸の調子もかなり悪く脱水になりそうだ。

熱があって意識はそこそこはっきりしているのは精神衛生上誠に宜しくない。はやく眠ってしまいたいのに、睡眠薬の効果がなかなか出ない。あらゆる音楽が、ゴルトベルグでさえ騒音にしか聞こえない。頭が割れそうだ。いけないとは思いつつ中途覚醒の度何度も睡眠薬を飲む。うとうとする。起きる。服薬。やっと寝る。起きる。また服薬。ふと考える。思い当たる節は。

1、卵。加熱が不十分だったか。サルモネラ?まさか。胃酸が強すぎて胃炎になるくらいだ。動物との接触もない。

2、ノロウイルス?魚介を食した覚えはない。飛沫感染か。だがノロウイルスに侵されてもバッハのカンタータを一曲弾いた実績があるから大丈夫*1

3、遅れてきたインフルエンザか。確かに電車に乗った。商業施設にも行った。1歳半の幼女に遊ばれた。特筆することもない普段の生活である。前例としてはセンター試験のときに実はインフルエンザで39℃の熱を出していたが生きて帰ったのでまあ大丈夫*2

 

4月25日(月)

頭痛と腹部全体の痛みは残るものの起き上がれるようになった。お粥を食べるがすぐに下してしまう。夜は無事眠れた。

 

4月26日(火)

今日は26日、風呂の日、火曜日。

冷凍室に突っ込んであった明治の個包装チョコレートを1枚食べた。いずれ下してしまうようにも思えるが「何か口に入れて噛んだ」ということが達成感につながる。金色の個包装紙で鶴を折る。斜めに折り三角をつくって余った端に爪で折癖をつけ、力が均等に入るようにパッと割く。さっきの三角の端と端をあわせてさらに小さな三角を…中略…指の丸みに沿って鶴の羽に緩やかなカーブをつけて出来上がり。

 

胃腸はやはりまだ回復していなかった。いざ、はばかりへ。迅速になけなしの云々ポールで消毒対応。ついでに溜めこんでいた衣類とタオルを洗濯する。ここで塩素系漂白剤を使うと白い布が大量生産されそうな気がして酸素系漂白剤で我慢。今ならそれもコムデギャルソン的オシャレに感じられるが…

いやでも自分の体液の付着する風呂場は避難区域である。あがったら早急に云々ハイター*3をこれでもか!!!と撒きちらし換気扇をつけ放置すること数十分。塩素のいわゆる「プールのような臭い」に頭痛と吐気が誘発される。風呂トイレに窓がないのはやはり心許ない。

 

思考実験(混ぜるな危険) 

トイレと風呂の換気扇がつながっているとする。ユニットバスでも構わない。

トイレに酸性洗剤、風呂に塩素系洗剤*4を撒き、換気扇をつける。 

ここで仮にトイレ洗剤を大雑把に塩酸(≒「塩化水素の水溶液」)と呼ぶことにする。

ちなみに塩酸は以下のように得たと仮定

水素と塩素の反応で塩化水素を得る

 


m H_2 + Cl_2 longrightarrow 2HCl

塩化水素は常温では気体。水に溶かすと塩酸という液体でいてくれる

塩化水素(HCl)+水(H2O)→塩酸(水溶液のなかでは電離している状態)

 
m HCl + H_2O longrightarrow  H_3O^+ + Cl^- 

その塩酸を便器にぶっかける

便器中のアンモニアと反応した塩化水素が塩化アンモニウムとなる




m NH_3 + HCl longrightarrow NH_4Cl

 

なお、塩化アンモニウムリコリスで味付けされた菓子は、日本ではタイヤ味として評判である*5

サルミアッキグミ(HARIBO社製) 蔑称:タイヤ

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▼原産国でもやはりタイヤと認識されているようである

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▼スーパーサルミアッキシュレディンガーが猫を殺すために用いた菓子である

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さて、残った塩酸の一部は揮発したり便器中の水に溶けたりするだろう。*6トイレに充満した塩素ガスは換気扇の力によって風呂に届くかも知れない。一方、風呂では次亜塩素酸ナトリウムが崩壊しながら活躍しているところである。

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次亜塩素酸は不安定なので何かとくっつきたがるようだ。

猫は未だ密室で腹を下して寝ている。

家主がドアを開けるまで、猫が生きているのか死んでいるのかは…

 

うっ

 

厠ぁぁ…!!!

 

 

出典:

塩化水素 - Wikipedia

リコリス菓子 - Wikipedia

「混ぜるな危険」を混ぜてみよう

 

*1:自分の番以外は控え室で寝るかトイレに引き蘢るの二択だったが

*2:なぜか国語の点数が驚くほど下がったこと、周囲と職員室に迷惑をかけたのを除く

*3:塩基性洗剤;次亜塩素酸塩Na配合率約5〜6%

*4:だがアルカリ性

*5:検索して「ハリボー タイヤ」とサジェストされたらおそらくそれ

*6:仮に家主が劇物として濃度25%以上の塩酸を保持していた場合、煙が出る。この煙を密室で吸い続ければ猫は死ぬ

読書感想文が書けないという苦悩

 特に小説はいけませんね。文章の織りなす情景につぎつぎ呑まれてしまって、読み終わった後しばらく何もできないままぼんやりするのですから。ぼうっとして、帰ってきた浦島太郎のようにうっかり玉手箱を開けてしまって、
タチマチ  シラガノ  オバアサン
になっていないかしら。
   なんて、いても立ってもいられなくなって洗面台の鏡をのぞき込むと、顔と呼ばれる部分には目が2つと鼻が1つ(鼻の穴は2つ)に口が1つ、ちゃんとついています。
   それに、白髪になっているわけでも急に150歳くらいのお婆さんになって長寿記録を更新しているわけでもありません。
 
本の内容をインプットし
→自分なりの適当に媚びた感想を添え
→わかりやすくアウトプットする 
 
   私は、この、あたりまえだのクラッカーができないのでした。技術や読書量が足りていないか、はたまた頭の毛が3本足りていないのか。そのうえ、私の考えは「ひとが他者の考えを完全に理解することは不可能である」というものでした。
    いえ、おそらく誰もが不可能だとわかっているのです。わかっているからこそ、「感想文」を書くことでコミュニケーションの訓練をせねばならない、ということなのでしょう。
 
 目の前にあるこのリンゴの赤色は、その場にいる全員にとって、「全く同じ赤色に見えている」
   ……などという寝ぼけたギャグは、養老孟司先生なら仰らないはずなのです。しかし複数の人々と話を進めるためにはそんなことを言っていてもはじまらないので、場を進めるために「同じ赤だ」、または「同じ赤じゃないかもしれないけれど、私にはこう見えた」と主張し合意をとりあい、前提を決めていくことが大切なのです。といったところなのでしょう。
    諸君わかったね、ではひとつそういう茶番を1200字~2000字程度で実演してごらんなさい、という宿題が読書感想文なのだと思います(個人的な見解)。
 
  表現のためには読者の立場もまた、踏まえる必要がありますね。たとえば私のような猫に説明するには、原稿用紙ではいまいち物足りないものです。またたび、猫じゃらし、その他うってつけのおもちゃで説明していただけると助かります。
    未来のことを考えて、もし相手が火星人でしたら、感想文の成立条件あるいは読書という文化の存在から確認すべきかも知れないでしょう。
    過去に思いを馳せて、西洋方面の哲学者になると、古代ギリシアから脈々と連なる哲学のメンツを潰すな。わかりにくいようにわざわざ悪文を書け。という圧力がかかるのも頷けます。
 
「どうだ、わからねえだろう、愚民ども。ほら難しいだろう!恐れ入ったか!」と書くのである。
 
 実はこれにはからくりがございます。
 
 さもなくば、全世界哲学研究者連合会の闇の会長みたいな人が合図をするのです。すぐに対象者はタイムマシンにのせられ、処刑されんとするソクラテスの傍に連行されます。
 そして一緒に毒杯を勧められる。
 
ソクラテス「ブルータス、お前モカ*1?」
ブルータス「いや、ホットのブレンドを」

 

こういったわけで、哲学書には悪文が多いという話でした。
 
 
 
うっそぴょーーーん

*1:καὶ σὺ τέκνον