猫日記

だから猫に文章を描かせるとこうなるんだ

救急外来での所感

鰯を捌く。鱗を削ぎ、頭を切り離し棄てる。肛門まで骨に沿ってひらく。掻き出した内臓は捨て、残った血を洗い流す。水を切って、そうだ、忘れてた尻尾も落とす。これを2尾南蛮漬けにして、手をよく洗って、ベッドで横になる。

これがいけない。また眠ってしまった。狭いベッドから起き上がった刹那、目の前が真っ白になり意識を失う。後ろに仰け反り倒れたのか、後頭部を強打したようだ。呼びかけられやっと気がつく。自分は倒れている。そして頭が痛い。救急隊員と消防隊員が駆けつけ、適切な一問一答形式の審査。これでどこの科か決まる。進振り、ってやつか。一番すんなりと答えたのは
Q「なぜこんなに大量の薬を飲んだのですか」
A「死にたかったからです」
はあ。平熱。心電図きれい。脈拍一応正常値。
進振り先は、とりあえず脳外科。頸椎損傷、脳挫傷のおそれあり。おくすり手帳と空いた薬をパックに入れる。証拠の品です。プラスチック製のギプスのようなもので首を固定されながら乗る救急車は、居心地が良いとはとても言えない。車酔いしつつ到着。自分で死のうとして、死ねなかったけど中途半端なタイミングで倒れて、せっかく来てくれたのにごめんなさい。薬が残ってるのか、絶妙に気持ち悪い。受け入れてくれた病院は、運良くタクシーでもワンメーターちょっとのところ。ガラガラガラと担ぎ込まれた夜間救急はやはり混んでいて、優先度低そうな私は待たされる。トリアージ大事。
 
どの位待っただろう。酔っ払いのおじさんの隣と思われるベッドへガラガラガラ。アルコールでへべれけなのも薬剤過剰摂取もここでは同等。そりゃそうか。夜間救急だからか医師も看護師も若い人ばかりだ。同い年か年下か、くらいの医師が診察してくれた。採血後、500mlパックをかなりの速さで点滴されたままこれまたガラガラ移動、CTとレントゲンを撮る。なんか頭の中見られてるみたいで恥ずかしい、なんつー戯言は言ってられない。 
結果:
血液検査も画像診断も問題なし
救急外来で同じタイミングで来た人の数割は、そのままICUに行ってしまったようだ。隣のおじさんが、だいぶデカい声で看護師さんと話しているものだから全部丸聞こえだ。私と隣のおじさんは、尿が出なくて苦戦している。同志だ。残る手段はカテーテルで採尿かと思いきや、そこまで大事ではなかったらしく、隣のおじさんの鼾を背に、私は結局1リットル点滴してタクシーで帰った。
 
空はまだ、夜と朝のあいだのような色をしていた。