猫日記

だから猫に文章を描かせるとこうなるんだ

気分の記録2

自己意識を取り戻したところで、心に空いた空洞はそう簡単に埋まらない。いま尚懸命に穴を埋めている最中だ。穴を埋めるのが正しいかどうかの判断はいまの私にはできない。穴を開けたままにしておくことで「それを持たざる人とは異なる何か」ができる可能性も、ないことはないだろう。

 

いわゆるふつうの生活を送っていても(例えが不謹慎で申し訳ないが)先日の土砂災害のように、心のなかで予想外の土砂崩れが起きて色々なものが流されたり水没したりと、長期間の避難が必要になることもままあるはずだ。
物理的に目の前で家族、家など大切なものが濁流に流された後の喪失感はいかばかりか。
「その場所にあるものが、いつも通りそこにある」という安心感は、人間的な繋がりはもちろんのこと心の奥底における安定に不可欠なものではないのか。
己が生きていた痕跡や絆を一瞬のうちに無に帰す自然の力ははかりしれない。
 
安易に自殺する前に、何らかの手段でこの心のうちの動揺を知ってもらえたら、似た境遇の一人が命を落とさなくて済むのだろうか。
一方で、心から死にたいとのぞむ人がいるのなら静かに寄り添ってあげられたらいいなと思う。
生まれはそもそも不条理である(哲学的には)から、己の死を己が決定することも否定してはならない気がしている。