猫日記

だから猫に文章を描かせるとこうなるんだ

三十六計逃げるに如かず

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 パンダは本来肉食で、植物を食べる際の栄養摂取効率が非常に悪いにもかかわらず、笹を食べることで結果的に生き延びてきたようです。一説によれば、人類の人口が増えるにつれ高緯度地域に追いやられたパンダが、新たに棲みついた土地でツキノワグマなどほかの肉食動物と獲物を争わなくてすむよう竹食に適応したのだといいます。

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 かねて、カンガルーやワニや蛙や蚕など多数派の人が好まないようなものを食べることに興味がありました。この趣味はさすがにオフラインでは表現しづらいものです。目をつぶって口に放り込んだときA5ランク黒毛和牛のような味がして、それに準ずるような栄養分を摂取できるなら、同等の価値を得られるものであればわざわざ命を賭してA5ランク黒毛和牛を勝ち取る必要はない。それが仮に昆虫であったとしても、かまいません。

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 悉く中央値から外れたものに興味を持ってしまうという性質は、マーケティング関連職の方々より忌み嫌われてきました。感覚的に多数派にアプローチしづらいからでしょう。金にならないのです。

 当然ながら、中央値から外れた部分を選択すれば競争の母数が減ります。多くの強い競合に勝ち抜かずとも、個人レベル~小規模組織であれば細々と生き延びることが可能になりそうです。

 わたしは、パンダと似た戦略をとって生き延びてきた人類の子孫なのではなかろうか。いまはそう感じます。圧倒的な強みがない、あるいは相対的弱者であるため、強いていえば勘をはたらかせ積極的に異端を選び取りブルーオーシャンを開拓するという戦略で、現代まで子孫を残すことに成功できたのでしょう。死んだら元も子もありますまい。