猫日記

だから猫に文章を描かせるとこうなるんだ

「女」がエウリアンにひっかかって500円の絵葉書(絵が変わるやつ)を買った件

こんにちは。

秋葉原で試しにエウリアンについて行った馬鹿な雌猫です。

エウリアンというのは、街頭でチラシ配る振りをして客引きをする絵画商法のことです。

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エウリアンとは編集

  • 数千円の価値しかない絵を数十万円以上で売る絵売り女の俗称。 キャッチセールスの代表格。絵画商法。 可愛い女に声をかけられてホイホイとついていったら怖いお兄さんと借金地獄が待っている。 海の中のイルカの絵とか、そんなやつ。絵画ではなく、高価なポ.. 続きを読む
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 メイドさんに紛れて配られた画廊のチラシをつい受け取ったら、お姉さんに「ちょっとだけでいいので、見に来てください」と声をかけられました。そのときまで「エウリアン」という言葉は知らなかったのですが、ググったら思いのほかヒットして驚きつつ、そのネーミングセンスに感心しました。

 店舗は電気街口のラジオ会館LABIの間です。「新しい画廊なのですか?」と聞いたところ「実は16年やってて、私は6年チラシ配ってます」と言うので、暴力団などがバックにいるのだろうか?と思いつつ店内に踏み込んでみました。 

 

店舗入口では、住宅展示場よろしく名前や住所や電話番号を記入させられます。

 名前は適当なアニメキャラを、住所は近所のぼったくり絵画屋のを、電話番号は何桁か変えて書いてみました。それにしても適当にかいた名前で呼ばれるのって恥ずかしい。

 ビルは3階建てで、3階から2階までワンフロアずつ案内されました。店内は明るく、知らない作家さんの版画が色々ありました。シルクスクリーンと銅版画が主だったと思います。要は量産できるやつですね。大ブームを起こしたラッセンに似た絵や、ミロとカンディンスキーを足したような絵もありました。 

 

お姉さんはまず、ひたすら容姿を褒めてくれます。

真木よう子に似てますね」とか、適当に思いついた全然似てない人を挙げてくれます。これは悪い気はしないですね。ちなみに隣で商談を受けていたお兄さんは、「王子様っぽいですね!」と言われていました。横目で見ると、彼は初音ミクの絵柄付バッグを肩にかけていました。 

 

続けて、「秋葉原にいなさそうですよね」と言われます。

 これは隣の人も言われていたのが聞こえました。こだまでしょうか(古い)。秋葉原をネガティブに捉える点で、「自分はオタクだ」と思っている方には有効な手口なのでしょうが、秋葉原がわりと好きな私には何の効果もありませんでした。なので「今日は通院のために云々」などと答えました。それだけだとくやしいので、「秋葉原には高級オーディオショップや、昔ながらの電子機器専門店がたくさんありますし、何時間でもいれますよね。パソコンも真空管トランジスタも抵抗もはんだごても色々な種類が手に入るし」と言いました。

 

お姉さんに絵画の知識がほぼない

 その後、キャッチのお姉さんはなぜか銅版画の前でシルクスクリーンの説明をしてくれました。なぜまたここで?

私「こないだ印刷会社の工場を見学に行ったんですけど、まさにそういうイメージですよね」

お姉さん「これは手作業なんです。職人さんが3ヶ月かけて作ってるんですよ。ここに書いてある31/100というのは、100枚刷って31枚目ということです」

ここからが本当のクロージングでしょう。

 

お姉さん「今まで見たなかでどれがいちばん好きですか?」

店舗の中で決めさせるやつです。

私「……迷いますが、強いて言えば、これですね」

よりによって地味で小さなコラージュの作品を選びました。お値段なんと45万円!(ちなみに絵画商法の平均相場は約80万円だそうです)私は貧乏なので「絵に45万円は無理だなー、でもここで自分の絵を売ってもらったら高く売れるのかなぁ」とも思いました。

 

どれを選んでも褒めてもらえます。

お姉さん「これは…私が一番好きな作家さんなんです!銀座では人気があるんですが、秋葉原ではなかなか選ばれない玄人向きの作品なんですよ。なかなか選んでもらえないので嬉しい!」

これも悪い気はしないので

私「秋葉原では、どういうのが選ばれるんですか」

お姉さん「イルカとか、ああいうキャラクターものです」

安直すぎる答えに失笑しました。せっかくなのでよく観てくださいと、彼女はスポットライトの当たるところに版画を移動してくれました。私は内心「退色するからあんまり光当てないで…」と思いました。

 

接客のお姉さんが交代しました。

さっきのふんわりメイド系のお姉さんとは違い、シュッとした感じの黒髪黒スーツの方です。お姉さん「これ気に入っていただいたそうで。もしかして、楽器嗜まれてましたか?フルートとか(なぜフルートなのかは謎)。実は、銀座の画廊で人気があるんですよ。これ、もし家に飾るとしたらどこに飾りますか?」

私「うーん…飾るというか、湿度管理した部屋を作ってそこに保管しますね。カビ生えたら困りますから」と言いました。

お姉さん「いやいや、今は海外では家庭に絵を飾るのは普通なんですよ。今の版画は耐久性がありますから」 

私「(海外は湿度が違うからな…空調設備も規模が大きいし)じゃあ、オーディオ部屋というか、書斎に飾りますかね。でも、まず家を建てて専用の部屋を作ってから買いたいと思います。今の私には鑑賞できるだけの力がなくて勿体無いです。」

お姉さん「でも、家庭ができたら、その分自由にできるお金も減りますから、お一人の今がチャンスなんですよ」

私「家庭ができるといいですけどねえ」

お姉さん「まあ…どうですか?癒されませんか?一生モノの芸術です。」

私「今の自分には想像がつかないですね。会社に飾ってあるならわかりますけど。それなら、地方の若手のクリエイターさんが書いている絵を買って飾りますね。今もそんなカレンダーを部屋に飾ってます」

お姉さん「個性的ですね。ちなみに、いくらだったら買いますか?」

私「4~5万円ですね。制作の知人づてで気に入ったものを売ってもらおうと思います」

お姉さん「そうですか…では画集があるので下のフロアにおいでください」

 

1階は画集や小物を売っているフロア。だんだん出口においやられる私。 

お姉さん「さきほどの作家さんの画集です。いかがですか?」

私「(3000円か…美術館のでもこんなにするのは稀だな)これ、解説ないんですか?」

 私は、解説も印刷元も出版社も一切のっていない、プレゼンソフトと○○パックを駆使して作れそうな、デザイン性の一切ない謎の画集をパラパラしながら問いました。

お姉さん「ないですねぇ」

私「では残念ですがまた」

お姉さん「では記念にこのポストカードなどいかがですか?一枚1000円ですが、特別に半額でいいですよ。ちなみに眼鏡拭きもあります」

私「気に入った絵で眼鏡を拭くなんて畏れ多いので。その高級なポストカードを一葉ください」

 こうして、その店を後にしたのでした。ああ、悪質業者に500円渡してしまった。でも何か買わないと出られる気がしなかったので、どうしようもないです。店舗から解放されたついでにググったら、例の絵はリアルに50,400円で取引されていました。コレクター用の印刷は、凹凸加工もあり、額装もあり、それぞれに職人さんがいるようでした。人件費がかかって意外に高額なのでしょうか。

 

 ちなみにエウリアン秋葉原でのターゲットは20代男性だそうですね。伝統的な悪徳商法なのに経営が成り立っているということは、この方法に、効果があるわけですよね… 


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