猫日記

だから猫に文章を描かせるとこうなるんだ

備忘録(ふりかえり) 2024.4.22

・かつて己のかんばせを呪っていた。わたしは生物学的には女性なので、美しくないかんばせで生きるのは相応に苦しかった。かつての美の基準とは大幅に異なるものだった。

 

・女は美しくあらねば価値がないように感じられたので、女であることから逃げることにした。哲学科に進学したが美学を学ぶことははなから諦め、代わりに男性ばかりが研究するようなテーマとずっと向き合っていた。職業も、女性でなくて良いものを選択した。

 

・最近の流行に従い、己のかんばせが評価されるようになった。わたしは女であっても良くなったしそうでなくても良くなった。むしろ、容姿を意識する必要がなくなり自由になった。

 

・女性性をもう少し大切にしてみたり、それに向き合ってみる勇気が出た。己に似たかんばせの子ができたら生きづらかろうと反出生主義に陥っていたが、わたしの想定できる範囲でもないだろうとニュートラルに捉えられるようになった。

 

・哲学関係ではない学会(学術的な)に加入した。加齢で能力が衰えはじめているとはいえ、やはり学ぶことは楽しかった。どうしても観点が理系に寄っていってしまうのは生まれつきかも知れないと感じた。

 

・そしていずれにせよ、わたしが進路を決めたころの社会において、そもそもわたしは女でないほうが生きやすい資質を持っており、それは己のかんばせとは殆ど関係ないことがわかった。うまくいかないことすべてをかんばせのせいすることは、気持ちが楽になる効用があった。